虹海 総合支援ステーションから!

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第173回 認知症について〜症状別対応法②〜

もう1月も早いもので半分以上過ぎましたね。
今日はところどころで雪が降り、
山間部では積もったりして交通にも影響が出ていたようですが
皆様におかれましては穏やかにお過ごしでしょうか。

さて、今回も前回に引き続き「認知症」症状別の対応法について
引き続きお伝えしたいと思います。
そして、今回は「中等度のもの忘れ」に対する
対応法についてお伝えします。


初期の頃には役に立ったメモも、
メモしたことやそのメモをどこへやったのかを
忘れてしまうので、利用が難しくなります。


記憶が保てないため、段々と行動に取り留めが無くなり、
家庭で自立した生活が難しくなってしまいます。


その対処法として・・・


①規則正しい生活パターンを


規則正しい生活パターンを作り、
時間割に合わせた生活を送ると、安心されます。
「いつも同じでは退屈だろう」と
ご家族は思われるかもしれませんが、
この時期になると変化に対応する力が低下する為、
混乱しやすくなっています。
活動意欲が無くなりがちで、放っておくと
段々何もしなくなってしまいます。
これを防止する意味からも、
生活パターンを確立して、
「もの忘れがあってもきちんと暮らしていける」
状態を長続きさせることが大切です。


②悪い感情は残ります。


「叱られた」、「馬鹿にされた」、「脅された」等の
悪い記憶は、細かな内容は覚えていなくても
感情として残るものです。
介護する方との人間関係が壊れてしまうと、
後々まで対応が難しくなってしまいます。
やりとりは難しいところもあるでしょうが、
出来るだけ穏やかに、にこやかに言葉をかけて、
良い気分を残してください。


③真面目な顔は怖い顔


ご本人が忘れて間違ったことを言ったとき、
ご家族は事実をわかってほしい、わかるはずだ、
との気持ちから、真面目に論理的に、熱心に
訂正してしまうことがあります。
早口でまくし立てるように話しているときもあるかもしれません。
その時の家族の顔はどのようにみえているのでしょうか。
もしかしたら、怖い顔に見えているかもしれません。
大した間違いでなければ、大目に見る、
どうしても訂正が必要なときだけ、
にこやかに、穏やかな口調で簡潔に説明してみましょう。


④ 今の一瞬を大切に


残念ですが、症状が進んでくると、
美味しいものを食べても、楽しいことをしていても、
それを長く覚えておくことが出来なくなってきます。
せっかく旅行に行っても、
1日経つと行ったこと自体を忘れてしまいますので、
周りの方ががっかりされることもあります。
まさに、「今この瞬間を生きている」といった状態です。
ただ、きちんとした記憶は残らなくても、
楽しかったという幸福感は残ると思われます。
介護される方は、覚えておいてもらえることをあまり期待せず、
その時その時を気持ちよく過ごしてもらえるように
されてみてはいかがでしょうか。


⑤食べていないと言い張るとき・・・


食事を済ましてからも「食べていない」と言い張り、
何度も食事を要求される方がいらっしゃいます。
「今食べたでしょう」と言っても、
ご本人に食事の記憶がなく、「
嫁が食べさせてくれない」と近所に訴えるなど
行動がエスカレートしてしまうこともあります。
「今準備をしていますから、お茶でも飲んで待っていてください」
と気をそらすことは有効です。
食事の後片付けを暫くしないで、そのまま、
みなさんで団らんすると、食事の記憶がとどまり易いように思われます。


ご本人、ご家族だけで不安を抱え込んでしまいがちでありますが、
ちょっとした気になったことでもお気軽にご相談いただければと考えています。