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第175回 認知症について 〜症状別対処法④〜

唐津市では中学受験の合格発表があったようで、冬の真っ只中ではありますが、何だか勝手に、ほんのり春を感じております。

また個人的に応援していた映画「ペコロスの母に会いに行く」も、最近注目されていて、こちらも勝手に嬉しく思っているところです。この映画は認知症のお母さんがその息子さんと送る日常をえがいた作品です。重いテーマかと思いきや、クスッと笑えるところもある、読みやすい漫画が原作となっております。書店に置いてありますので、ぜひご覧あれ!

前置きが長くなりました。
ここからはテーマに沿って、お話を進めてまいります。

今回は「見当識障害」への対処法について取りあげてみます。

見当識障害」とは、例えば、今がいつか、ここがどこか、といったことが分からなくなる状態です。

《 時間の見当識 》
現在を、自分が若かった頃と勘違いして、さらに周りをその当時に合わせて解釈しようとすることがあります。現在80歳の方に年齢をうかがうと、「38歳」と答えられたり、仕事や育児をバリバリこなしていた頃に戻ることが多いようです。小学生に戻ることもあります。

《 場所の見当識 》
夜にもかかわらず買い物に行こうとしたり、季節に合わない服装をしたり、自宅にいながら「ここは自分の家ではない」と生家へ戻ろうとされることもあります。

《 時間の見当識:対処法 》
認知症が初期の頃は、カレンダーをなじみの場所に貼っておき、毎朝一緒に「今日は○年○月○日」と確認するのがよいでしょう。日頃の会話に日付や季節を時々盛り込んでみましょう。日光を取りこみ、昼夜の区別がつくようにしましょう。

認知症が進行し、若い頃に戻っている方に「違います」と現実の年齢を告げることは、あまり意味がありません。あえて否定せず、相づちを打ちながらご本人の話を真剣に聞いてさしあげてください。

《 場所の見当識:対処法 》
「自分の家じゃない」を否定するのは難しいことです。そのことよりも、「とにかくここは(自分の家じゃないけど)居ても安心できるところだ」と思ってもらうことを考えましょう。

施設へ入所など、住む環境がかわる時は、思い出の品・使い慣れている家具などをできるだけもって行きましょう。

入院したときは、できるだけご家族が面会へ行って、ご本人が不安になり過ぎないよう気を配ってあげることが大切です。

《 人の見当識:対処法 》
アルツハイマー病が進行すると、自分の顔を鏡で見ても自分と分からなかったり、配偶者や子どもを他の家族と間違えるなどが出てきます。
でも、知人程度なら、相手が誰だか分からなくても上手に「とりつくろ」って、不自然さを感じさせません。これは素晴らしい能力です。

もしご本人から間違えられたとしても、すぐに否定したり説得しようとせず、ご本人の訴えを傾聴して、不安があればその軽減をはかりましょう。

大切なのは、ご本人が「馬鹿にされている」「軽く扱われている」と思われないように、周囲がふるまうことです。こうしたふるまいを続けることで、ご家族のことを分からなくなることがあっても、お互いの信頼関係を保ち続けることができます。